6月6日に行われたサッカー天皇杯の2回戦。
名古屋グランパスと奈良クラブがあたったが、
延長戦までもつれ、PK戦で勝敗を決めることになった。
PK戦の末、奈良クラブが勝利!毎年恒例のジャイアントキリングが起きたのだ。
ところが、5日後の6月11日に日本サッカー協会がPK戦に誤審があったとして、PK戦のやり直しを決定した。
審判による競技規則(ルール)の適用ミスがあった。
ジャイアントキリング(大番狂わせ)を前面に出して(大会を)プロモーションしながら、ミスが起こった。非はすべて私たちにある。
J1を普段から鑑賞している僕からすると、サッカー協会、めずらしく謝りましたね。普段、全然誤審を認めませんから。
では、一体どのルールが、どの場面でミスだったのか?
サッカーのPKのルール
まずは、名古屋グランパスと奈良クラブのPK動画を見てみましょう。
動きを文字で表すならば、「おっとっと、ていやー」って感じでしょうか?
完全なるフェイントです。
ここで疑問になってくるのが、プレー中のフェイントは、当たり前だけど、許されるけどPKのフェイントはダメなのか?というところです。
ルールでOKとされていること
ルール上、OKとされていること。
・キックする人を特定して、その人が蹴ること
・キックする人以外は、全員ペナルティエリア外にいること
・一度ボールがキックされたら、他の選手はエリア内に入ってきて良い
・必ずボールは前方へ蹴る
・助走の段階でのスピードの強弱のフェイント
注目してほしいのは最後の項目。
許可されているのは助走の段階でスピードを早めたり、緩めたりすることです。よくネイマールがやるやつですね。
今回の奈良クラブの選手は、「おっとっと、ていやー」です。
すなわち、審判の判断的には既に助走を終わっていて、キックの体制に入ってるという判断です。直接キックに関連するようなフェイントはNGとされています。
以前の競技規則でしたら、不正行為があってゴールが決まった場合、再キックでオッケーとされていました。
しかし、規則は今季改正され、今は以下の通りとなっています。
第14条―ペナルティーキック
・キッカーは、明らかに特定されなければならない。
ゴールキーパーとキッカーが同時に反則を犯した場合:
・ボールがゴールに入らなかった場合、キックをやり直し、両者は、警告(イエローカ ード)される。
・ボールがゴールに入った場合、キッカーは警告(イエローカード)され、キックは「失敗」として記録される(第10条を参照)。
・外部からの妨害があった後にボールがゴールに入った場合、得点は認められる。
つまり、過去の規則だったら今回の審判は適用ミスとはならなかったけど、脳内アップデートをしていなかったため、現在の規則では適用ミスという判断になりました。
キーパーのルール
実は、PKのルールはキッカーだけに限ったものではなりません。
キーパーも当然ながら守らなければいけないルールがあります。
色々とありますが、最も大切なのはこの2つです。
・キッカーがボールを蹴る前に動いてはダメ
・キッカーの正面にたち、ゴールラインの上に立たなければいけない
ようは、キッカーが助走している間に、前に思いっきり走って行ってボールを奪わないためのルールですね(笑)
ちゃんとゴールの中で待ってろよ、と。
今回のPKのフェイントで思うこと
プロとして審判をやってるわけですが、一つの判断で選手やクラブの将来や収入(賞金)が大きく変わります。
※天皇杯の賞金:優勝 1億5000万円、準優勝 5,000万円、第3位 2,000万円
これは、強化費に充てられるお金なので重要です。1億5000万円もあれば、日本代表クラスの選手を二人獲得することができます。
主審は1人だけど、副審は何人もいるわけです。
1人も気づかなかったの?1人も新しい規則を把握していなかったの?それとも、日本人特有の「あれ?違う気がする・・でもあの人の方がえらいしなー・・・」と無駄にまた空気を読んでしまった?
そのせいで、PK戦やり直しという結果になってしまった。
そして、黙っていた副審たちも、罰を免れるわけではない。
日本サッカー協会は12日、東京・文京区のJFAハウスで審判委員会を開き、天皇杯2回戦(6日)の名古屋(J1)-奈良クラブ(奈良県代表)戦において、競技規則の適応ミスを冒した審判団に対しての処分を決めた。
清水修平主審は公式戦3カ月の審判活動禁止、副審の小椋剛氏と池田一洋氏は2カ月間の審判活動禁止にした。第4審判に関しては、今後処分を決める。
試合は主審・副審の全体で作るもの。人ごとではないよ!サッカー協会、良い判断を下しましたね。
J1ファンとしては、日本の審判団にはもっとスキルをあげてほしい。というか、あげるべきだし、サッカー協会も毎年しっかりと評価するべきだ。
特に、家○や西○に関しては、お願いだからどうにかしてほしい。
この2人の主審を務める試合は、イエローカードが出すぎていつも試合の流れが壊れるし、誤審も多い。そのせいで、サポーターもいつも荒れる。
今回のPK戦のやり直しの判断と同様、Jリーグでも積極的に誤審を認め、適切に処分をして頂きたい。
